五臓六腑ってなんですか? 肝編
肝は「将軍の官」や「罷極の本」と称されていて、正常な身体活動や精神活動を行うために指示を出したり、休憩を促す中枢になります。また、本能活動に深く関与し、人格を形成しているとされています。
筋・爪・涙・目人体の組織器官や春・風・生(発生・成長)も肝と関連しています。
<肝のはたらき>
- 血液の蔵血機能や脈管内の血量を調節する。
- 筋肉、腱、筋膜、靭帯、爪、目の機能を調節する。
- 情緒の安定などの自律神経に関与する。
<症状チェック>
- イライラして怒りっぽい
- 気分がふさぎやすく、不安感が強くなる
- 寝起きが悪く、目覚めが遅い
- 胸や脇のあたりが張って苦しい
- 食後の消化に時間がかかる
- 頭痛が起こりやすい
- 目が充血していたり、疲れやすい
- キーンという高音の耳鳴りがする
- 目や足の痙攣を起こしやすい
- 爪が割れやすい
<暮らしかた>
- 一日10~30分くらいは運動をする(エレベーターではなく階段をつかうなど)
- なるべく今日中に寝る(難しい場合は5分でも早く寝る)
- パソコン、スマホなどの画面を長時間見た場合、空や奥行きを感じないものを20分以上見る
- 外的・内的ストレスを感じた場合、音楽や香でリラックスを楽しむ
- 春夏秋冬、いつでも身体を冷やさないように気を付ける
- イライラしたり喉に詰まった感じがある場合、酸っぱいもの(梅干し・レモン・柑橘系)を摂る
<胆の特徴>
「胆は中精の府なり。」「中正の官」と称されています。
公平中立の立場で他の臓腑の活動状況を監視し、その適否の決断に任ずる器官であり、大胆さや勇ましさに通じています。
弱ければ少しのことにもビクビクし、太息(ため息)をつくなど「胆が据わってない」状態になります。
また、消化機能の補助的な役割をしていますので、胆の働きが悪くなると飲食物が胃から逆流して口が苦くなったり、苦汁を嘔吐したりします。
いかがでしたか?
季節や状況に応じて身体は反応します。
そのサインを見逃さないように、暮らしていきましょう。
中医学では、体内にある臓器を五臓六腑と表現しています。
お酒を飲んだ時に「五臓六腑に染みわたる!」と身体の隅々にいきわたる表現をするアレです。
五臓は精を貯蔵している実質器官のことで、肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)があり、生命活動の中枢として機能しています。
六腑は中空器官のことで、胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃(い)・大腸(だいちょう)・膀胱(ぼうこう)・三焦(さんしょう)があり、飲食物の消化吸収と水分代謝、排泄に関与しています。
西洋医学の臓器の名前と似ていますが、中医学では、単に体内にしまわれている内臓を指すのではなく、外部組織と繋がり合う機能や構造を表す広義の意味も持っています。
体表に現われる様々な生理的・病理的な現象にはこれらの臓腑が関与しているため、それぞれの臓腑の機能がどのような状態なのか、また各臓腑間での関連を考えながら症状の原因を考えていきます。